省エネ計算とは
建築物省エネ法には、省エネの基準が2つ定められています。1つめが住宅の窓や外壁の性能を表す「外皮基準」、2つめが使用する設備の性能を表す「一次エネルギー基準」です。
外皮基準
外皮というのは、住宅の窓や外壁等、建物を囲う外側の部分を指します。
外皮の表面積あたりの熱の損失量が基準値以下になる必要があり、
基準を達成しているかは「外皮平均熱貫流率(UA値)」と「平均日射熱取得率(ηAC値)」の2つの数値で判断します。
外皮平均熱貫流率(UA値)
[外皮平均熱貫流率(UA値)=外皮の熱損失量/外皮面積の合計]
外皮平均熱貫流率は室内と外気の熱の出入りのしやすさの指標で、住宅の内部から外部へ逃げる熱損失を外皮面積で割って求めます。数値が小さいほど、断熱性能が高いことを意味します。
全国を8つの区域に分けて基準数値が定められており、上記表にある「1.0以下」というのは、地域で定められた基準数値以下にするという意味になります。
地域区分は市町村ごとに定められているため、建築する土地が決まった段階で調べる必要があります。数値は北に行くほど厳しく(=数値が小さく)なります。
地域区分 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
基準数値 | 0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 | 無し |
平均日射熱取得率(ηAC値)
[平均日射熱取得率(ηAC値)=外皮の日射熱取得量/外皮面積の合計]
平均日射熱取得率は太陽日射の室内への入りやすさの指標で、冷房期の日射熱取得量を外皮面積で割って求めます。数値が小さいほど、日射が入りにくく、遮蔽性能が高いことを意味します。
外皮平均熱貫流率と同様、地域区分ごとに数値が定められており、地域で定められた数値以下にする必要があります。
地域区分 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
基準数値 | 無し | 無し | 無し | 無し | 3.0 | 2.8 | 2.7 | 6.7 |
一次エネルギー基準
一次エネルギー基準は設備のエネルギー消費量の基準です。
「一次エネルギー」というのは太陽光や風力等の自然から得られるエネルギーのことです。
私たちが生活するうえでは、一次エネルギーを変換・加工した、電気や都市ガス等の「二次エネルギー」を多く使用します。
二次エネルギーの数値を一次エネルギーに変換し、冷暖房・換気・照明・給湯設備のエネルギー消費量や、太陽光発電設備等エネルギー利用設備のエネルギー発電量が基準数値以下であることが求められます。
数値は設備ごとに基準が定められていますが、全ての合計が基準数値以下であれば良いとされています。
上記2つの基準が1.0以下である場合、基準に適合していることになります。300㎡を超える住宅は適合義務ではなく、届出義務のため、適合していないと建築できないわけではありません。しかし、建築物省エネ法により、「基準に適合せず、必要と認める場合」には所管行政庁が「指示・命令等」できることになっています。また、300㎡以下の住宅は説明義務となっており、基準に適合しない場合は適合するための方法を、建築主に説明する必要があります。