暮らしのなかでできる「省エネ」を分かりやすく解説!

はじめに

日本の1年間の消費電力量は約1兆kWhと言われます。
イメージしにくいですが、私たちは毎日、意識せずに、沢山のエネルギーを使用しています。

しかし、日本のエネルギー自給率は低く、ほとんどを海外からの輸入に頼っています。
近年、電気代やガソリン代が高くなっていますが、海外からのエネルギーに依存していることも原因のひとつです。

そこで注目されているのが「節電」です。建築業界では「省エネ」や「省エネ住宅」という言葉を耳にすることが多いですが、「省エネルギー」というのは「エネルギーを効率良く使う」という意味です。「節電」とは「電気の無駄遣いを省く」という意味なので、「節電」と「省エネ」はとても似ている言葉なのです。そこで今回は、暮らしのなかで簡単にできる省エネ・節電術についてご紹介します。

家庭で使う電力

省エネ・節電術をご紹介する前に、まずは家庭でどのような電力が多く使われているのかを知ることが大切です。
一般家庭での電力消費量はおおよそ、エアコン等30%、冷蔵庫15%、照明10%、と言われています。
全体の5割以上をこの3種が占めているため、これらをどれだけ効率良く使用するかが省エネ・節電のカギになります!

エアコン等

エアコンの省エネ・節約ポイントは下記の7つです!

ドアや窓の開閉を少なくする

扇風機を併用する

暑いときに風があたると涼しく感じるため、夏には扇風機を併用している方が多いかと思います。しかし、実は暖房時にも扇風機を併用することで、暖まった空気を循環させることができます。

室外機の周りに物を置かないようにする

室外機の吹き出し口付近に物を置くと冷暖房の効率が下がるので注意が必要です。

無理のない範囲で設定温度を見直す

冷房時に設定温度を1℃上げると一夏で約940円、暖房時に設定温度を1℃下げると一冬で約1,650円の電気代節約になると言われています。夏の冷房は28℃、冬の暖房は20℃が推奨されています。
設定温度を上げすぎたり、下げすぎたりして、外気温との差が大きくなることは、体に負担をかける場合もあります。冬は厚着、夏は薄着と、着るものを工夫することも大切です。

こまめに消す

外出時や、必要ないと感じたときはこまめに消すことが大切です。
夏の冷房は1日1時間短縮することで一夏約580円、冬の暖房は1日1時間短縮することで約1,260円もの電気代節約になると言われています。
「つけっぱなし」の方がお得と聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、これは外気温や家の断熱性能、設備の性能によっても異なります。「必要なときだけつける」を基本に使用するようにしましょう。

フィルターは毎月清掃する

フィルターが目詰まりしているエアコンと清掃した場合を比較すると年間約990円の電気代節約と言われます。
エアコンは内部に埃等がたまり、カビが繁殖することで、異臭やアレルギー症状の原因となるともいわれます。
節電の観点からだけでなく、健康・快適に過ごすためにも、こまめにフィルターの手入れをすることが大切です。

部屋に適した暖房器具を併用する(冬)

部屋全体の暖房にはエアコン等の「対流式」の暖房器具が適していますが、暖めたい場所や目的によって、適切な暖房器具は異なります。
人がいる場所をピンポイントであたためるには「輻射式」のストーブや「伝導式」のホットカーペット等が適しているため、目的によって使い分けることも大切です。

冷蔵庫

冷蔵庫の省エネ・節約ポイントは次の5つです!

熱いものは冷ましてから保存する

温かい食べ物をそのまま冷蔵庫に入れてしまうと冷蔵庫内の温度が上がり、冷やすのに余分なエネルギーを使うことになります。

ものを詰め込みすぎない

詰め込んだ場合と、半分にした場合では年間で約1,360円の電気代節約になると言われます。
ずっと入れっぱなしになっている食べる予定のないものを処分する、常温で保存できるものを冷蔵庫から出して保管する等、冷蔵庫の中を整理することも節電につながります。

開けている時間を短くする

開けている時間が長いと、その分冷蔵庫内の冷やした空気が部屋に逃げてしまいます。
開けている時間を短く、無駄な開閉は無くすことを意識しましょう。

設定温度を見直す

冷蔵庫の設定温度は一度設定すると、こまめに見直す方は少ないのではないでしょうか。「強」になっている場合は「中」に変更するだけで年間約1,910円の電気代節約になります。
冷蔵庫内の温度は規格が決まっているため、基本的には「中」が最適な温度になるように設計されています。「強」は冷蔵庫が経年劣化で冷えにくくなったり、冷蔵庫内に物を詰め込みすぎて冷えにくい等の状況を想定して設置されているため、状況に応じて使用するようにしましょう。

壁から適切な距離をとって設置する

多くの冷蔵庫は放熱するスペースを確保するために、冷蔵庫の周りに隙間を設ける必要があります。
最近の冷蔵庫は排熱板が上部や側面についていることが多いため、取扱説明書で各方向の必要間隔について確認するようにしましょう。排熱がうまくできないと余計なエネルギーを使うことになってしまいます。
また、冷蔵庫の上にも物を置きすぎることも、冷蔵庫内にたまった熱が逃げにくくなり、余計なエネルギーを使う原因になるため注意が必要です。

照明

照明の省エネ・節約ポイントは下記の2つです!

照明の種類を見直す

家庭で使用されている照明は「白熱電球」「蛍光灯」「LED」が多いですが、それぞれ特徴が異なります。
「白熱電球」は安価ですが寿命が約1,000時間程度。 「蛍光灯」は消費電力が白熱電球の約1/4と省エネ性能に優れ、寿命も約6,000~10,000時間と長いです。 そして「LED」は消費電力が蛍光ランプの約3/4と最も省エネ性能に優れ、寿命も約40,000時間と長くなります。
「LEDは省エネ」と聞いたことがある方も多いと思いますが、白熱電球と比べるとかなり大きな差があることが分かります。
また、「LED」は白熱電球や蛍光灯と比べて、照明点灯時の発熱も少なく、空調への影響も少なくなります。
「白熱電球」を「蛍光灯」に変更すると年間約2,600円、「LED」に変更すると年間約2,790円の電気代節約になると言われます。

こまめに消す

使っていない部屋や廊下等の照明をつけっぱなしにせず、こまめに消すようにしましょう。
玄関や廊下、トイレ等の短い時間のみ使用する照明はセンサー付き照明にすることでONOFFの手間を省き、省エネにもなるため、おすすめです。

まとめ

暮らしのなかでできる省エネ・節電術についてご紹介しました。
省エネと聞くとハードルが高かったり、最新の省エネ住宅にする必要があるのでは?と感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、普段耳にする「節電」や「電気代の節約」と「省エネ」はとても身近なもので、皆さんがすぐに実践できるものが沢山あります。ぜひ今回ご紹介した内容を頭の隅においていただき、「省エネ」に取り組んでいきましょう。