【性能表示制度】評価項目「構造の安定」について

はじめに

住宅性能表示制度についてご存知でしょうか。
消費者が良質な住宅を安心して取得できるように、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいて、第三者機関が住宅の性能について評価し、その性能評価を表示するしくみのことです。
評価する項目は大きく10の区分が設けられています。(詳しくはこちら

今回から、この「性能評価」の評価項目について、10回にわたり詳しくご紹介していきます。

まず初回は必須項目である「構造の安定」に関する内容についてご紹介します。(公式Instagramでも分かりやすくまとめていますのでぜひご覧ください!)

概要

住宅性能評価・表示協会HPより

「構造の安定」に関することでは、
地震や風等の力が加わった時の建物全体の強さを評価します。

どんな大きな影響を受けても傷一つなく、修理の必要がない建物が理想ですが、現状では実現が難しいため、建築基準法を満たす3つの最低目標が設定されています。

損傷防止

数十年に一度は起こりうる大きさの力に対しては、大規模な工事が伴う修理を要するほどの著しい損傷が生じないこと。

倒壊等防止

数百年に一度は起こりうる大きさの力に対しては、損傷は受けても、人命が損なわれるような壊れ方をしないこと。

免震建築物

免震部材により、激しく短い周期の地震の揺れを緩やかな揺れに変え、建物および建物内部の人、家具を地震の揺れから守る構造となっていること。

評価は7つの事項に分かれており、それぞれ等級等で表現します。
上記の最低目標を満たす基準を等級1として、等級の数字が大きいほど評価も高くなります。

評価項目と等級

1ー1 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)    必須

地震の力が加わった時の建物の倒壊のしにくさを評価します。

表示方法:等級1~3

建築基準法で定められた、数百年に一度程度発生する地震力に耐えられるものを等級1とし、等級1で耐えられる地震力の1.25倍の力に対して耐えられる場合を等級2、1.5倍の力に耐えられる場合を等級3としています。

1ー2 耐震等級(構造躯体の損傷防止)      選択

地震の力が加わった時の建物の損傷のしにくさを評価します。

表示方法:等級1~3

建築基準法で定められた、数十年に一度程度発生する地震力に耐えられるものを等級1とし、等級1で耐えられる地震力の1.25倍の力に対して耐えられる場合を等級2、1.5倍の力に耐えられる場合を等級3としています。

1ー3 その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)

免震建築物である場合にのみ構造方法及び維持管理に関する事項を評価します。

表示方法:免震構造であるか否かの記入

住宅性能評価・表示協会HPより

1ー4 耐風等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)         選択

風の力が加わった時の建物の倒壊・損傷のしにくさを評価します。

表示方法:等級1~2

500年に一度程度発生する暴風力に対して倒壊や崩壊などせず、50年に一度程度発生する暴風力に対して損傷を生じない程度を等級1とし、各暴風力の1.2倍の力に対するものを等級2としています。

1ー5 耐積雪等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止):多雪区域のみ  選択

屋根の積雪により生じる力に対する建物の倒壊・損傷のしにくさを評価します。

表示方法:等級1~2

500年に一度程度発生する積雪による力に対して倒壊や崩壊などせず、50年に一度程度発生する積雪による力に対して損傷を生じない程度を等級1とし、各暴風力の1.2倍の力に対するものを等級2としています。

1ー6 地盤又は杭の許容支持力など及びその設定方法  必須

地盤又は杭に見込んでいる支持力の大きさと、その設定方法を記入します。

表示方法:記述

1ー7 基礎の構造方法及び形式等  必須

基礎の構造及び形式を記入します。

表示方法:記述

まとめ

「性能評価」の構造の安定に関する内容についてご紹介しました。
「構造の安定」は命にも関わる重要な内容のため、必須項目になっています。地震の多い日本で暮らすには、最高等級の取得を目指したいですね。
「性能表示制度」は任意の制度ですが、利用することで住宅の性能を理解し、安心して購入・生活することができます。

次回は「火災時の安全」に関する内容をご紹介します。