カーボンニュートラルってなに? 分かりやすく解説します!

はじめに

「カーボンニュートラル」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ホームページの投稿内で何度か触れており、最近はテレビCM等で耳にする機会も増えましたが、そもそもカーボンニュートラルとは何か?疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれません。

今回は「カーボンニュートラル」の意味や決定された背景等、詳しくご紹介します。

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることです。


‘実質ゼロ’というのは、二酸化炭素等の温室効果ガスの「排出量」から、植林や森林管理等による「吸収量」や「除去量」を差し引いて、合計を正味ゼロにするという意味になります。

日本では2020年10月の臨時国会で菅首相が2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すと宣言しました。

温室効果ガスというと二酸化炭素が代表的ですが、フロンガスやメタン等も含まれます。

環境省脱炭素ポータルはこちら

カーボンニュートラルを目指す背景とパリ協定

カーボンニュートラルを目指す背景をご説明するのに欠かせないのが、パリ協定です。


「パリ協定」は国際社会全体で温暖化対策を進めていくための礎となる協定で、2015年にフランス・パリで開催されたCOP21で成立しました。
1997年に定められた「京都議定書」の後を継ぐ協定というと分かりやすいかもしれません。

パリ協定では以下のことを世界共通の目標として掲げています。

◇世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して、2℃より充分低く抑え、1.5℃に抑える努力をする

◇そのため、早期に温室効果ガス排出量をピークアウトし、今世紀後半にカーボンニュートラルを実現すること

しかし、すでに世界の平均気温は、産業革命前に比べて約1度上昇しているという報告もあり、このままだと早ければ2030年には1.5度の上昇に達すると言われています。

また、気温上昇をパリ協定の目標2度に抑えるためには、2075年頃には脱炭素化する必要があり、努力目標である1.5度に抑えるためには、
2050年までにカーボンニュートラルを実現する必要があると言われています。


パリ協定は途上国を含むすべての参加国に、目標達成のための努力を求めていますが、具体的な取組や数値目標等は各国の積極性に委ねられています。
2020年に日本政府が「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言したのは、このような背景があったのです。

実現のための建築物分野での活動

カーボンニュートラルを実現するには、まず温室効果ガスの排出量を大幅に削減することが必要です。
差し引きしてゼロにすると言っても、吸収量や除去量には限界があるためです。
温室効果ガスの排出量を削減するためには、エネルギー効率の高い製品を使用したり、節電したりしてエネルギー消費量を減らすことが必要です。

これを建築分野で達成しているのが省エネ住宅です。
省エネ住宅は「外皮基準」と「一次エネルギー消費基準」のふたつをクリアした住宅のことです。
「外皮基準」をクリアすることは断熱性能と遮蔽性能が高いことを意味し、エネルギーを効率良く使うことが可能になります。
「一次エネルギー消費基準」はエネルギー消費量が基準数値以下であることが求められています。

省エネ住宅についてはこちら

また、温室効果ガスの排出量を削減するために注目されているもう一つの方法が、再生可能エネルギーの利用です。
再生可能エネルギーといえば「太陽光発電設備」が代表的ですね。

2021年には政府も

2030年度以降新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す

2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す

という目標を掲げており、2022年には「省エネ法改正」も公布されました。 

省エネ法改正についてはこちら

省エネ法改正以外にも、性能評価の断熱性能等級と一次エネルギー消費量等級の追加や、「こどもエコすまい支援事業」等、建築物分野で上記2つの目標を達成するための方策や支援事業が多く行われています。

まとめ

カーボンニュートラルについてご紹介しました。

上記のように政府はカーボンニュートラル実現のため、建築物分野の省エネ化を推進しています。
東京都では2025年から新築住宅を対象に太陽光パネルの設置を義務付ける等、都道府県や企業も目標に向けた取り組みを加速させています。
個人の行動ではなかなか成果が見えにくいですが、私たち一人ひとりが知識を身に着け、行動していくことで実現に近づきます。

今回ご紹介したカーボンニュートラルについて頭の隅に入れておいていただき、住宅建築や購入の際にはぜひ「省エネ住宅」をご検討ください。