【性能表示制度】評価項目「火災時の安全」について
はじめに
「住宅性能表示制度」についてご存知でしょうか。
消費者が良質な住宅を安心して取得できるように、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいて、第三者機関が住宅の性能について評価し、その「性能評価」を表示するしくみのことです。評価する項目は大きく10の区分が設けられています。(詳しくはこちら)
2回目の今回は「火災時の安全」に関する内容についてご紹介します。(公式Instagramでも分かりやすくまとめていますのでぜひご覧ください!)
概要
「火災時の安全」に関することでは、火災発生時の早期覚知のしやすさ、3階建て住宅の3階からの脱出対策の有無、外部からの延焼を受けた場合の建物の燃えにくさを評価します。住宅内や近隣の住宅などで火災が発生した際に、以下の2つを目標の基準としています。
人命や身体が守られること
・出火を防止すること
・安全に避難や脱出ができるようにすること
財産が守られること
・出火を防止すること
・外壁・床・屋根などが火に強いこと
評価は7つの事項に分かれており、それぞれ等級等で表現します。
上記の最低目標を満たす基準を等級1として、等級の数字が大きいほど評価も高くなります。
ただ、「出火を防止すること」については居住者の注意のほうが大きく影響することもあり、住宅の性能として考えることが難しいため評価基準にはなっていません。
評価項目と等級
2ー1 感知警報装置設計等級(自住戸火災時)
感知警報装置の設置による、住戸内で発生した火災の早期発覚知のしやすさを評価します。
表示方法:等級1~4
感知器と警報装置の設置状況により等級が決まります。等級1は消防法で定めるレベルです。等級4では、台所及びすべての居室で発生した火災を早期に感知し、自住戸全域にわたって警報を発するための装置が設置されていることが条件となっています。
2ー2 感知警報装置設計等級(他住戸火災時):共同住宅のみ
評価対象住戸以外の住戸で発生した火災の、早期の知覚のしやすさを評価します。
表示方法:等級1~4
感知器と警報装置の設置状況や自動化の程度によって等級が決まります。
2ー3 避難安全対策(他住戸火災時・共用廊下):共同住宅のみ
評価対象住戸及び、それ以外の住戸で火災が発生した際の避難を容易とするために廊下に講じられた対策について評価します。
対策としては、
「共同廊下に漏れだした煙を外部に排出する形式」や「避難に必要な共用廊下の平面形状」
(①:通常の歩行経路による2以上の方向への避難が可能/②:地上などの安全な場所に通じる階段(直通階段)との間に他住戸がない/③:その他)が採り上げられています。
表示方法:等級1~3
耐火時間や設備によって等級が決まります。等級3は耐火時間が60分以上となっています。
2ー4 3階の脱出対策:3階建てのみ
火災時に、通常の歩行経路が使用できなくなった場合に、住宅の3階部分から安全な場所に脱出できる対策が行われているかを評価します。
対策としては、
①直通階段に直設通じるバルコニー/②隣戸に通じるバルコニー/③避難器具/その他、が採り上げられています。
表示方法:対策の有無
2ー5 耐火等級(開口部)(下図①)
外部から延焼を受けた場合の開口部が火災を遮る時間(延焼のおそれのある部分にある外壁の開口部の耐火時間)の長さを評価します。
表示方法:等級1~3
延焼のおそれのある部分にある外壁の開口部の耐火時間のうち、最も短いものによって等級が決まります。20分に満たない場合等級1、20分以上が等級2、60分以上が等級3になります。
2ー6 耐火等級(開口部以外)(下図②)
外部から延焼を受けた場合の外壁及び軒裏が火熱を遮る時間(延焼のおそれのある部分にある外壁、軒裏の耐火時間)の長さを評価します。
表示方法:等級1~4
延焼のおそれのある部分にある外壁・軒裏の耐火時間のうち、最も短いものによって等級が決まります。20分に満たない場合等級1、20分以上が等級2、45分以上が等級3、60分以上が等級4になります。
2ー7 耐火等級(界壁及び界床):共同住宅のみ(下図③)
共同住宅において、壁を介した隣戸又は床を介した下階の住戸からの延焼のしにくさを評価します。
表示方法:等級1~4
耐火時間の長さ、対象部の構造方法によって等級が決まります。等級4は耐火時間が60分以上となっています。
まとめ
「性能評価」の「火災時の安全」に関する内容についてご紹介しました。
出火を防止するためには日々の生活で一人ひとりが気を付けることが大切ですが、火災がおこった際には耐火時間がより長い設計にすることで、助かる人・物が増えます。必須項目にはなっていませんが、命にも関わる重要な内容のため、ぜひ取得したい項目ですね。
「性能表示制度」は任意の制度ですが、利用することで住宅の性能を理解し、安心して購入・生活することができます。
次回は必須項目の「劣化の軽減」に関する内容をご紹介します。