ZEHとは?ZEH基準や種類について詳しく解説!

はじめに

先日、「省エネ住宅」について紹介しましたが、
「省エネ住宅」と並んで「ZEH」という言葉も耳にする機会が多いのではないでしょうか。
記事内で「省エネ住宅」と「ZEH」の違いについて簡単にご説明しましたが、実は「ZEH」にもいくつか種類があります。


今回は「ZEH」について、さらに詳しくご紹介していきます。

ZEHとは

「ZEH」は「net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略で、家庭で使用するエネルギーと太陽光等で創るエネルギーを合わせて、エネルギー収支を実質ゼロ以下にする家を指します。
下記4つの基準があり、基本的には全てクリアする必要があります。

強化外皮基準

強化外皮基準とは、外皮平均熱貫流率(UA値)の数値の基準です。

外皮平均熱貫流率(UA値)= 外皮の熱損失量/外皮面積の合計

外皮平均熱貫流率は室内と外気の熱の出入りのしやすさの指標で、住宅の内部から外部へ逃げる熱損失を外皮面積で割って求めます。
数値が小さいほど、断熱性能が高いことを意味します。
全国を8つの区域に分けて基準数値が定められており、北に行くほど厳しく(=数値は小さく)なります。
省エネ法により、それぞれの地域の基準数値が定められていますが、さらにその数値より小さい「強化外皮基準」がZEHには求められています。

地域区分12345678
基準数値0.460.460.560.750.870.870.87無し
強化外皮基準0.40.40.50.60.60.60.6無し

再生可能エネルギー等を除く一次エネルギー消費量20%削減

「一次エネルギー」というのは太陽光や風力等の自然から得られるエネルギーのことです。
私たちが生活するうえでは、一次エネルギーを変換・加工した、電気や都市ガス等の「二次エネルギー」を多く使用します。
二次エネルギーの数値を一次エネルギーに変換し、冷暖房・換気・照明・給湯設備のエネルギー消費が「省エネ法」に定められた基準から20%以上削減されていることが「ZEH」の条件になります。

再生可能エネルギーの導入(容量不問)

再生可能エネルギーとは石油や石炭等の化学エネルギーではなく、太陽光・風力・地熱等の自然界に常に存在するエネルギーのことです。
太陽光発電が、住宅に取り入れやすい代表的なものになります。

再生可能エネルギー等を含む一次エネルギー消費量

「ZEH」は「創エネ」として「再生可能エネルギー」の導入が求められています。
太陽光発電設備等の「再生可能エネルギー」によりエネルギーを創り出し、「省エネ法」に定められた基準から100%以上削減されていることが「ZEH」の条件になります。

ZEHの種類

上記でご説明した「ZEH」がスタンダードなものですが、実は「ZEH」には6つの種類があります。
大きく分けると性能の優れた順に「次世代ZEH+」「ZEH+」「ZEH」となります。
気候や土地条件から太陽光発電設備を十分に設備するのが難しい場合、「創エネ」の基準が少し緩和された「Nearly ZEH+」や「Nearly ZEH」が適用されます。
「ZEH Oriented」は都市部の狭小地等で太陽光発電設備を設置するのが難しい場合に適用され、「創エネ」の基準が不要になるのが特徴です。

次世代ZEH+ZEH+Nearly ZEH+ZEHNearly ZEHZEH Oriented
強化外皮性能適用適用適用適用適用適用
再生可能エネルギー等を除く
一次エネルギー消費量
▲25%以上▲25%以上▲25%以上▲20%以上▲20%以上▲20%以上
再生可能エネルギー等を含む
一次エネルギー消費量
▲100%以上▲100%以上▲75%以上▲100%以上▲75%以上
その他以下3つの内2つ以上の採用
・断熱性能等級5を超える外皮性能
・高度エネルギーマネジメント(HEMS等)の採用
・電気自動車への充電
上記に加え、
以下いずれかを導入
・V2H設備
・蓄電システム
・燃料電池
・太陽熱利用温水システム
適用条件寒冷、低日射、多雪地域寒冷、低日射、多雪地域都市部狭小池、多雪地域等

まとめ

政府は2050年カーボンニュートラルに向けて、遅くとも2030年までに省エネ義務基準をZEHレベルに引き上げる方針を掲げています。
新築される住宅についてZEHレベルの省エネ性能を確保するとともに、6割の住宅で太陽光発電設備の導入を目指しており、
今後「ZEH」はさらに身近なものになるでしょう。
「ZEH」は強化外皮基準をクリアしているため、高断熱が保証されており、冬は暖かく夏は涼しく、年間を通して快適に暮らすことができます。


また、省エネ性能も高く光熱費が削減できたり、災害時に太陽光で発電することで停電に対応できたり、暮らしていく中で多くのメリットがあります。

今回ご紹介した「ZEH」について、頭の隅に入れておいていただき、住宅建築や購入の際の参考にしてみてください。