本年度スタート!新たな「窓の性能表示制度」について分かりやすく解説!
はじめに
窓の性能表示制度があることをご存知でしょうか?
省エネに対する関心の高まりから、より断熱性能の高い窓の普及を図るため、2011年からスタートしています。しかし、性能表示ラベルの貼り付け作業が業者の負担になる等の理由からあまり普及しておらず、建築業界でも制度を知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、2050カーボンニュートラルに向けて、住宅の高断熱化を促進するため、本年度から表示内容やラベルデザインが見直されました。今回はこの新たな「窓の性能表示制度」について詳しくご紹介します。
概要
従来の表示制度に使われていた「窓ラベル」は窓の熱貫流率について4段階で評価するものでした。熱貫流率とは窓の内外で、どれくらい熱が通過するかを表す数値で、数値が小さいほど断熱性能が高くなります。
窓の性能表示制度は「JIS A 4706」を参照していますが、「JIS A 4706」は2021年に改正されており、断熱性の上位等級と日射熱取得性の評価指標が追加されています。
新たな「窓の性能表示制度」は、「JIS A 4706」の改正に伴い、「断熱性能」について6段階で評価することに変更され、「日射熱取得率」が表示項目として新設されました。
断熱性能
断熱性能とは、どれだけ外気温の影響を受けにくいかを表します。断熱性能が高いほど、住宅内の熱が外部へ逃げにくくなり、1年を通して快適に過ごせるようになります。断熱材を施した屋根や壁に比べると窓やドアは断熱性が低く、家の弱点にもなるため、断熱性能の高い窓を採用することは大変重要になります。
「高断熱」について詳しくはこちら
新たな「窓の性能表示制度」は、従来の最高ランクが4つの段階に細分化されています。
新区分では、★3つ以上の窓を用いることでZEHを達成できる可能性があるとされています。政府は2050カーボンニュートラルに向けて、2030年にはZEHレベルを義務基準にする方針を掲げており、今回の改正はZEH基準を達成する水準が評価区分の平均値になるのを想定して設定されているのです。
日射熱取得率
日射熱取得率とは、住宅にどれくらいの日射熱が入るかを表した数値で、数値が大きいほど、多くの熱が室内に入り、遮蔽性能が低いことを意味します。日射熱取得率を高くしたいか低くしたいかは、設置する地域や方位、部屋の用途によって変わってきます。
例えば、LDKに計画する南向きの窓は日射熱取得率を高くすることで、冬に日射熱を取り込み、暖かさを得ることができます。対して、納戸に計画する西向きの窓は日射熱取得率を低くし、西日を取り込まない工夫をすることで、家具や洋服の劣化を防ぐことができます。
新たな表示制度は、日射熱取得率について3段階のマークで表示します。日射熱取得率を高くするか低くするか、どちらが適正かは、地域や方位によって異なるため、優劣を印象付けないマークになっているのが特徴です。
まとめ
2023年からスタートした新たな「窓の性能表示制度」についてご紹介しました。
省エネ対策が注目されている今、住宅の性能は常に向上しつづけています。2025年には省エネ基準適合義務、2030年にはZEHを義務基準にする政府方針のように、今後さらに住宅の省エネ性能が求められることが考えられます。将来の基準適合だけでなく、光熱費の削減や居住快適性の向上のためにも、より住宅に適した窓を選択していきたいですね。
今回ご紹介した改正内容について頭の隅に入れておいていただき、住宅建築や購入の際の参考にしてみてください。