【性能評価制度】評価項目「高齢者等への配慮」について

はじめに

住宅性能表示制度についてご存知でしょうか。
消費者が良質な住宅を安心して取得できるように、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいて、第三者機関が住宅の性能について評価し、その性能評価を表示するしくみのことです。
評価する項目は大きく10の区分が設けられています。→詳しくはこちら

9回目の今回は「高齢者等への配慮」に関する内容についてご紹介します。

公式Instagramでも分かりやすくまとめていますのでぜひご覧ください!

概要

「高齢者等への配慮」に関することでは、高齢者や車いす使用者等への身体上の負担や事故などを軽滅するために、
どのような工夫がされているか、バリアフリーの程度を評価します。
バリアフリー対策は、必要となったときに簡単な工事で対応できるものもありますが、廊下の幅や部屋の広さを変更する場合、大規模な工事になることも多くあるため、新築時点での対策が必要となります。

性能評価では、新築時に対策をしておかないと対応が難しい以下の2点について確認します。

(住宅性能評価・表示協会HPより)

◇移動時の安全性の確保

◇介助のしやすさ

また、住宅の内部と共同住宅などの共用部分とでは、用いる車いすの種類が異なるなど、想定される状況が大きく異なるため、専用部分と共用部分を分けて等級表示することとしています。

評価項目と等級

9ー1 高齡者等配慮対策等級(專用部分)

住戸内における高齢者等への配慮のために必要な対策の程度を、以下のイ~ヘの6つの基準で評価します。

イ. 垂直移動の負担を減らすための基準
高齢者等の寝室と同じ階に、日常的に利用する部屋(便所・浴室等)があるかを確認します。また、階段が安全な形状・寸法となっているかを確認します。

ロ. 水平移動の負担を減らすための基準
廊下等、生活動線上の段差の程度を確認します。

ハ. 転落事故を防止するための基準
バルコニーや2階の窓等に転落の危険がないかを確認します。

ニ. 姿勢変化の負担を軽減するための基準
必要な場所に手すりが設置されているかを確認します。

ホ. 通路・出入口の幅員の基準
高齢者が日常的に使用する通路や出入口が、車いすの利用等に配慮された幅になっているかを確認します。

ヘ. 寝室・便所・浴室の基準
寝室・便所・浴室が、介助に必要な広さが確保されているかを確認します。

表示方法:等級1~5

建築基準法に定められた基準を満たしたものが等級1です。
「イ」~「ニ」の基本的な対策をしたものが等級2、「イ」~「ヘ」すべての対策をしたものは、その程度によって等級3~5となります。

9ー2 高齡者等配慮対策等級(共用部分):共同住宅のみ

共同住宅等の、建物出入口から住戸の玄関までの間における高齢者等への配慮のために必要な対策の程度を、以下のイ~ヘの6つの基準で評価します。

イ. 垂直移動の負担を軽減するための基準
エレベーターが計画されているか、階段が安全な形状・寸法となっているかを確認します。

ロ. 水平移動の負担を軽減するための基準
廊下等、生活動線上の段差の程度を確認します。

ハ. 転落事故を防止するための基準
開放廊下等に手すりがあるかを確認します。

ニ. 共用廊下の幅員の基準
共用廊下等が、車いすの利用等に配慮された幅になっているかを確認します。

ホ. エレベーターの基準
エレベーターが設置されているか、またエレベーターやエレベーターホールが自走式車いすに配慮された寸法が確保されているかを確認します。

表示方法:等級1~5

建築基準法に定められた基準を満たしたものが等級1です。等級2~5は対策の程度によって判断されます。

まとめ

「性能評価」の高齢者等への配慮に関する内容についてご紹介しました。

家を建てる時には若くて健康な状態であっても、将来のことは分かりません。
問題が起きてからでは対応が難しい場合も考え、新築時からバリアフリーを意識して計画したいですね。
「性能表示制度」は任意の制度ですが、利用することで住宅の性能を理解し、安心して購入・生活することができます。

次回は「防犯」に関する内容をご紹介します。